2016年12月16日

風流「ツマミ調達花見酒」

汗をかいたのでひと休み マキ割は疲れますね お父さん

もうすぐ日が暮れる カラスが飛んでゆく

一番星光るまで もうひとがんばり

汗をふいて お茶を飲んで 腰をのばせば お父さん

ニッコリ笑う ニッコリ笑う

明日天気になあれ

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山道を歩いていてこんな風景に出会うと、とても嬉しくなってしまう。

自然界の神様から時間空間を授かったような気がしてとても幸福な気分になってしまうのだ。

冒頭の「うちのお父さん」の歌を作った南こうせつさんは笑顔が人懐っこい素朴さ満面のフォークシンガーである。

名前の「南こうせつ」は本名だそうで「南高節」と書く。
度々「ナンコウブシ」と読まれるので「こうせつ」とひらがな表記にしたとか。

麦わら帽子と長靴が良く似合う。
大分県の田舎で家族と野菜作りをしている、「自然派アーチスト」でもある。



あのころふたりの アパートは 裸電球 まぶしくて

貨物列車が 通ると揺れた ふたりに似合いの 部屋でした

覚えてますか 寒い夜

赤ちょうちんに 誘われて おでんを沢山 買いました

月に一度の ぜいたくだけど お酒もちょっぴり 飲んだわね

      - 詞 喜多條忠  曲:南こうせつ 「赤ちょうちん」 -



「神田川」「赤ちょうちん」「妹」の三曲を「四畳半三部作」と呼ぶらしい。
喜多條忠の詞と南こうせつの曲が旨くマッチした都会の「昭和青春ノスタルジックフォークソング」として
一世を風靡した。

線路沿いの木造の古いアパート、貨物列車が通る度に裸電球が揺れる。

路上のあちこちには公衆電話ボックスがあった。
昭和の光景を、喜多條忠は詞のあちこちに散りばめた。

四畳半の部屋に風呂はない。そのころ東京では多くの街にアパートから歩いて行けるほどのところに銭湯があった。

熱い湯に年配の常連が茹蛸のように顔を真っ赤にしてウンウンうなりながら浸かっている。
壁面にはたいてい富士山の絵が鎮座する。

湯上りに飲んだコーヒー牛乳はなんであんなに旨かったのだろう、と今でもあの味を思いだす。



私は「神田川」が大ヒットしたころ某企業の地方支店でサラリーマン生活を送っていた。
以前の記事の「歴史的建造物」的独身寮にいた頃の話である。


会社のすぐ近くにお城があってそのすぐ横は大きな公園である。
桜満開のあたたかな春の日、寮生で花見に繰り出した。

「下戸な寮長」が「寿退寮」して寮生は新人を含め今はもう五人になっていた。

日本酒の一升瓶が二本、ツマミはスルメ、オカキにチクワが五六本。

紙コップの酒の上に花びらがひらひら舞い落ちて、ふわっとうかぶ。

春風の風情にのって酒がすすむ。


二本目の瓶を開けようかという時、私と同期のNが新人のAに令を下した。

「オイ A君 ツマミの調達に行ってき給え」
この中村敦夫似の背高イケメン(当時はハンサムという)新人Aは私の大学の後輩でもあった。

「ハイ」とAは立上がり、やがて花見客の群衆の合間を歩き回っているのが遠くに見え隠れした。
実はこの「ツマミ調達」は古くからの寮の花見の習わしである。

他の花見客の席に行って、おつまみを分けていただく、という非常に勇気のいる仕事だ。

いい加減酒が効いているから、厚かましさや図々しさにも輪がかかって、恥ずかしさはすでに失せている。

先輩たちの話によると「ツマミ調達」は立派な「営業の訓練活動」であると笑って話していたが、「シラフ」では到底できない「営業活動」ではあった。

ほどなくAがツマミ調達から帰って来た。
なんとツマミ以外に、若い女性を五人も一緒に引っ張って来たのだ。

私たちは彼女たちを拍手で歓迎し、またAの予想外の働きを賞賛しつつ、男ばかりのむさくるしい席がほんのか桜色に染まっていく中で「見知らぬ女性群」と意気投合し心地良い酔いに浸った。

男女が交互に座って、唄ったりはしゃいだり、「天国の様な春の昼下がり」。

そんな時 「あれっ」
こちらに向けられた視線に気がついた。
「オイ」と私はNに云う。「あの子たちは…」
十数メートルほど離れた桜の下で、会社の女の子が三人ジーッとこちらを睨んでいるように見えた。

Nが素っ頓狂な関西弁を発した。
「アーッ シモター、忘れてモータッタやんけー!」

小柄なNはふらつきながらも女の子たちの方に向かって走った。
そして両手で拝むように女の子たちに謝るような仕草をしている。

実はNは数日前に会社で、こっそりある女の子に花見の予定を話していた。
それを聞いた会社の若手女子軍団は、前の晩から花見用の手作り料理を準備していたらしい。

「他の寮生たちをビックリさせよう」ということで、そのことをNにだけは話してあったらしいが、花見当日Nは予想外の「見知らぬ女子軍団」の参入にすっかり舞い上がってしまい「会社の女子軍団」との約束が頭からスッポリと抜けてしまっていたというわけだ。

もしかしたら「会社の女子軍団」はイケメン新人Aが目当てだったのかもしれない。
踊る心で手作り花見重箱料理をかかえて来てみれば、すでにどこかの知らない女の子たちと盛り上がっているではないか…。

ナンダ ナンダ「ムムッ」と話は必然的にこうなって春の空も雲行きが怪しくなってしまう。

結果的にAの予想以上の働きは一転仇となり「天国的花見の酒宴」はすっかり後味の悪い酒となってしまったのである。

後日、あの「見知らぬ女子軍団」は「会社の女子軍団」が行きつけにしていた美容院の美容師さんのグループだったことが判明、以来「会社の女子軍団」はそのお店には行かなくなったとか。

あれもこれもあの花びら舞い散る「春風 風流酒」のなせるいたずら、「思い出の青春花見酒」であった。




今日は渡辺さんの結婚式で うちのお父さんが仲人で

めでたいめでたい 鯛のお頭付 酒は飲め飲め 花嫁さん

ひざをくずし おさらたたいて 唄をうなれば お父さん

ニッコリ笑う ニッコリ笑う

明日天気になあれ

            - 詞 曲 南こうせつ 「うちのお父さん」 ー  


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(以下私の駄作)

春が来れば お父さん 梅や桜もきれいに咲くでしょ お父さん

グイッと呑んで ニッコリ笑って 明日天気になあれ  ヒック!?(笑)


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posted by いこい at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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